ワンフロアーを贅沢に使った部屋

 我が家は、あるビルの中層階にあるマンションで、そのフロアの真ん中のエレベータホールを取り囲むようなレイアウトになっていた。フロアの間には仕切りがなくって、全くのバリアフリーになっている。そして、部屋は、それぞれの角に申し訳なさそうな仕切りがあって、よく見ると部屋だということがわかるようになっていた。また角と角の間には、家具が無ければ部屋とはわからないような構造で、時々、ベッドが置いてあったりして、家族それぞれの寝室になっていた。ずいぶんと、ある意味豪華な作りになっている。

 私の部屋は、やはり角部屋だ。どんなに部屋が広くても、なぜか角が好き。そんな貧乏性な私かもしれない。でも、そこから眺める、眼下の町並みの景色がとても気に入っている。きっと、アマチュア無線をやっていたら、アンテナの心配も全くしなかっただろう高さなのだ。

 今日はそこに、上の階に住む、かつての同僚が遊びにきていた。

 私が最初に派遣されていた会社の同僚で、若いのにしっかりとしたポリシーを持った優秀なシステムエンジニアだ。結婚していてまだ小さい子供がいる。

 私は、起きたばかりで、顔も洗ってなかったし着替えもしておらずパジャマのままだったんだけれど、そんな状態でも全く問題ないほどの付き合いなのだった。

 彼は、私の部屋からの景色が素晴らしい、って褒めてくれたけれども、彼の部屋は私の部屋の上階なはずなので、もっと景色がいいはずなのだ。でも、そんなところはちっとも出さずに、わたしの各部屋の案内に、ニコニコしながら付いて回った。

 私は、どうしても、その彼の部屋の方がいいはずなのに、というところが気になって仕方がなかった。

 普段から彼は、なかなか他人には部屋を見せることはしなかった。

 極度に拒否することもなかったんだけれど、やんわりと拒否るというか、いつの間にか話題が変わっているというか、そういうところがとても上手なんだった。

 でも、今日は、私がちょっとだけ強めに、さぞ上階は景色が違うんだろうな、ってしつこかったからか、自分の部屋を見せてくれることになった。

 一つ上のフロアだったし、外にでることも当然なかったので、つい、パジャマのままで彼の部屋に出かけてしまったことに後で気がつくんだけど、その時は、全く気がついていなかった。

 ちょっと長めの階段を登って行くと玄関にたどり着いた。

 彼の部屋の入り口はとっても狭くなっていた。

 大きな一枚の厚い板と壁の間をすり抜けないと、中に入れない構造になっていた。肥満体の人は入れないんだ。私でもぎりぎりだった。お腹をへこませて、やっと通り抜けたぐらいだから。

 でもそのお腹をへこませたときに、自分の格好に気がつかされたんだけどね。

 それでも、彼の部屋を見たいという好奇心の方が先に立って、入ってしまった。

 中に入ると、ワンフロア全部を使った部屋が現れた。

 都会の学校の校庭ほどの広さに見えた。ま、それは言い過ぎかもしれないけれど、それぐらい広いひとつだけの部屋だった。真ん中に当然柱もないし、窓もない。入り口のすぐの窓辺は全面鏡になっていて、それがその部屋の広さを倍にして見せていた。

 部屋は、ほの暗い感じで、控えめの幻想的な色の光で満たされていた。ともすると、床と壁と天井の区別がつかない感じがした。

 部屋の一番奥に、ちょっとしたテーブルと椅子があって、その角に、小さめのキッチンがあった。 

 その部屋の奥に案内されるんだけれど、フローリングのその部屋は、日々のメンテナンスが大変らしかった。

 部屋の中ほどに奥さんがモップを持って床をみつめていた。

 私はパジャマ姿で他の人の家を訪れてしまったことを猛省しながらも、恥ずかしさを隠すためもあって、奥さんに大きい声で挨拶をするんだけれども、奥さんはまるで気がつかないようだった。
まるで無視されているような感じで、何度もさらに大きな声で挨拶したけれども、挨拶が返ってくる事はなかった。

 ちょっとだけ腹立たしくはなったので、彼に向かって、奥さんが気がつかないらしいことを何度か訴えた。

 彼はニコニコして、私の言葉を無視するように、何度も私を奥へと招いた。

 後で、奥さんが私のところにきて言うんだけれど、床にワックスを塗っていたんだけれども、目を離すとワックスがムラになってしまうために、気がついていたんだけれど目をそらす事ができなかった、って。言われて納得して、さらに自分が恥ずかしくなった。

 奥の椅子に座っていると、キッチンの方から彼のお母さんかな、らしき人が現れて、私に軽く会釈をしたんだけれど、その目が、ちょっとだけ私を非難していることに、私は気がついたけれど無視した。彼女の非難は当然で、それを私も気がついていたからだった。


 私は、その大きなフロアーを見て、当然のようにある疑問を口にした。

 どこで寝るの、と。

 そうしたら彼が言った。

 さっき、下に部屋があったでしょう、って。

 あー、さっきの長い階段か。私のフロアーとここの間に、もうひとつフロアーがあるのか、って。

 そこで、私の携帯がバイブ音を発した。



 それで目が覚めた。

 思い返せば、私の夢の中で数少ないカラーの夢だった。いつもモノクロだから。



 そんな夢をみた。


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by WofNaka | 2014-01-11 13:11 | 夢の話 | Trackback | Comments(0)  

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