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1961年生れ/東ニ病気ノコドモアレバ…西ニツカレタ母アレバ…南ニ死ニサウナ人アレバ…北ニケンクヮヤソショウガアレバ…/弱い立場中心の世の中に/陸前高田市が故郷 @WofNaka

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貧困層の街

 そこは貧富の差がとても激しい街だった。

 単に経済的な貧富だけではなく、街自体、もっと正確に言うなら、土地自体にも大きな格差があった。

 富裕層は、海からの絶壁の上にできていた街の中にあり、貧困層は、崖下に突き出た島にあったから。

 島は、平坦にならされていた。富裕層が、貧困層をそこに住まわせるために平坦な土地にはしてあげたのだった。

 その島は、直径が100mに満たないほぼ丸い島で、そこの住人達は、その丸い平坦な土地を残すように、島の縁にそって島を囲むように家を建てたのだ。

 富裕層らへのわずかな反抗だった。

 家は2階以上の祖末な木造で、1階は島の平坦地よりも低く、ともすると海面からすぐのところになる家もあった。2階がやっと島の平坦地に顔を出すような格好だったため、玄関は必ず2階にあった。

 それでも、あれがやってくるまでは、貧困層も富裕層の中に仕事を見いだして、見ただけではわからないほど裕福な暮らしをしているように見えたものだった。


 あれ。

 そう、大津浪だった。

 富裕層の家々は崖の上にあったから、全く被害がなかったけれど、貧困層の家々の少なくとも1階部分は、すべて浪に打ち砕かれてしまったのだった。人的な被害はなかったものの、もう住めるような状態になかったんだった。家族によっては、2階部分を修理して住んでいる人もいたけれど、修理した板の隙間から下を覗くと、白波が岩にぶつかっているのを目にすることができ、とても不安になったものだ。

 そんな貧困層の家々を遠くから見ている者がいた。

 富裕層で、島を一望できる崖の上に住んでいる人だった。

 島を囲むような守るような家々を、いつも可哀想だなと思いながら生活していたその人は、津浪で大きな被害にあったその家々も見ていて、なんとかして上げられないものかと思っていたのだった。

 そこで、富裕層から有志を集め、お金を出し合って、リハウス業者に島の貧困層の家々の修理をお願いした。

 出来上がった島の家々は、1階が窓が無い頑丈な壁で作られていて、トイレとお風呂場になった。そして2階はその上にさらに頑丈に作られた。今までの1階の機能のほとんどは3階に移ったのだ。これで、見た目も美しい、津浪に襲われても壊れることがない家々になったのだった。

 この富裕層の人は、みすぼらしかった島ががっちりした、しかも富裕層の家々に劣らない見栄えのいい家に出来上がったことに満足した。
そして、もうちょっとだけ、貧困層にプレゼントをしたくなったのだった。

 用意されたのは2泊3日の旅行だった。

 旅行業者が来て、東北地方の地図を広げて言った。

 金色堂はどうです?

 あー、そうね。それなら毛越寺も入れておいて。

 そこで一泊だな。

 次の日は、三陸沿岸に行く事にしようか。

 確か、松林がきれいな砂浜の街があったはず。過去に出かけたときの光景を思い出して、彼は目を細めた。
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 そして我に返って言った。その近くでもう一泊しようか。

 行き帰りはバスね。

 そうして、旅行プランが決まり、プレゼントされた。

 貧困層のほとんどがそれに参加したはず。さっき、ワイワイ言いながらバスに乗って行ったようだ。

 バスを見送った富裕層の人は、それでもう満足だった。

 でも、彼は知らなかった。

 先の大津浪で、2日目に行く松林のきれいな砂浜とその街がもうなくなっていることを。

 あの陸前高田の街は、壊滅的な被害にあって、見る影もないのだってことを。




そんな夢をみた。

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by wofnaka | 2014-10-16 09:20 | 夢の話 | Trackback | Comments(0)

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