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1961年生れ/東ニ病気ノコドモアレバ…西ニツカレタ母アレバ…南ニ死ニサウナ人アレバ…北ニケンクヮヤソショウガアレバ…/弱い立場中心の世の中に/陸前高田市が故郷 @ja1toe


by WofNaka

精密攻撃

私は追われていた。

でも、頭のなかでは、逃げることに疲れてもいた。

だけれども、体は勝手に逃げる方向を選んでひたすら逃げていた。

そうだ、あそこに行こう。
自分の職場に。

あそこならしばらく見つかることはないのではないか、と思った。

そして、職場に逃げ込んで、すぐにトイレにこもった。

ずっと、トイレに行きたかったから。


そして、やっとトイレで用を足して、安心して自分の席に戻った。
疲れてヘトヘトで眠りたかったのに、つい癖でパソコンを開いてログインをしてしまった。
そして、パソコンのキーボードに突っ伏して眠ってしまっていた。


人の気配がした。来客があった。
V保険の申し込みだった。
初老の男性。

私は自分が担当の仕事の保険の受付を、ついうっかりとしてしまった。
今日は休みなのに、職場に出てしまった格好になるから、つい。

今日は本来の職員の若い女性も来ていたが、保険は私が担当だし、私が先に来客対応に動いてしまっていたから。

本来であれば、書類への書き込みは、申し込む本人がやらなければいけないのに、初老の男性は、ちょっと偉そうに、なんとかという団体で、と言う。

私はその団体名を正確に記入したくて、パソコンから登録されている団体名を探し出して、保険の申込書に書いていった。
そのはずだった。

でも、私も相当に疲れてしまっていたから、パソコンに表示されている団体名を見て、書き写す段階になって、正確に思い出せない。
もう1文字ずつ見ては書き、見ては書きするような感じだった。
だから、ちょっと見る行を間違えてしまって、団体名の欄に、団体の目的を書いてしまっていた。

初老の男性は時計を見ながら、まだか、と少しイライラ気味で待っていた。

私は、書く内容を間違えてしまったので、新しい申し込み用紙に書き写し始めた。
そうして、やっと書き終えようとした時だった。

どこからかピーピー音がして、赤い光が見えた。
それは、さっきまでいたパソコンのキーボードを照らしていた。

あ、ログインしてしまったから位置を敵に教えてしまったんだと瞬時に悟った。
敵は精密攻撃ができるんだった。1mも狂わずにピンポイントでミサイルを打ち込める技術があることは知っていたから。

私は、早く、この地点から逃げなければ殺されてしまうと思ったけれど、まだ来客対応が完了していない。
お金を預かって、受領印を押さなければ。
焦った。

日付、きょうは何日だっけ。
パソコンに表示されている日付を見て、日付印の日付の板を調整していくが、字が小さい上に疲れているから、なかなか設定ができない。
そうこうしているうちに、赤い照準の点滅間隔が早くなっていった。
もういつ、ここにミサイルが飛んで来てもおかしくないと思った。

なんとか、日付の設定ができて日付印を押す段階になった。
複写式の用紙だから全部で4枚に押さなければ。

でも、体が疲れ切っていてもう動かなかった。
意識だけは目覚めていたけれど、体はもうどうにもならなかった。

日付印を押すよりも、精密攻撃をされる方が気になった。

そして、少しずつ、本当に少しずつ体を動かすことができて、やっとパソコンから1m移動することができた。
初老の男性は、こっちが見えているのか見えていないのかわからなかったが、気配でイライラしていることだけはわかった。

私は捺印の作業を開始した。
1mずれているから私は生きながらえることができると安心した。
敵が攻撃するのは、残念ながら私ではなくあのパソコンだから。

パソコンよ、悪いな、俺の身代わりになってくれ。

そんなことを頭の片隅で考えながら、やっと1枚目に捺印ができた。
あと3枚。
まだまだかかりそう。

そして、あと1枚というところまでなんとかたどり着いた瞬間だった。
背中に激痛と、爆発音が聞こえた。

薄れゆく意識のなかで、なんだよー、精密じゃないじゃないかー、と。
たいしたことがないな、口ほどにもないじゃないか、精密だってよ、1mも外しやがって。
でも、これでやっと楽になれる。
長く長く苦しんだもの、やっと楽になれる。もう逃げなくてもいいし、こんな面倒な体で苦しみながら生きていくこともなくなるな、とも思った。

そして意識がなくなったと思ったら、まばゆいばかりの光のなかにいた。
あの世かな、とも思ったが、そんなでもないことに気が付いた。

そう。
目が覚めていた。

背中に激痛はなかったけれど、体はとても疲れていた。
目だけ覚めているけれども、体が全く動かなかった。
そうして1時間、そのままの体制でいた。
そのうちにトイレに行きたくなった。
でも、体がどうしても動かない。

さらに、30分、そのままの体制でいて、体を指から徐々に動かしていって、やっとトイレにいけるまでになった。


あー、結局は死ねないじゃないか。
逃げなくてもいいけれども、まだまだ苦しい生きることだけが残されてしまったな、と思った。









そんな夢を見た。


ヘトヘトです。




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by WofNaka | 2018-06-05 18:38 | 夢の話 | Trackback | Comments(0)